「日常と映画の関係」で記事にする前のおぼえがき的映画第一印象メモ。


by callingu2
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カテゴリ:小説( 3 )

鏡子の家

三島由紀夫って、実はあんまり読んだことがなくて。
ハタチそこそこのとき、「音楽」などという、
かなりマニアックなところからスタートしてしまったため、
「三島=難解、暗い」というイメージがついてしまっていた。

逆をいって「潮騒」に手をつけてみたが、
卓抜した情景描写に感動しつつも、
一気にひきつけられるでなく、読本途中になっており。

が、ここで「鏡子の家」。
これまたマニアックですが。

まず、ぶあつさにひるむ。600ページ近い。

しかしながら、このたび、果敢に挑戦。

三島由紀夫の名を聞いて、個人的に私の脳裏にまず浮かぶのは
美輪明宏と加賀まり子。
生前、交友があったそうで。

都会の片隅から時代が変わっていくわね~というのを、
物悲しく権高に眺めている人々、というか。
つまり、戦後のセレブリティの匂いがするわけで。

「鏡子の家」はまさにそういう世界観の中で描かれた、
そういう種類の人間たちの物語、という感じです。
もしかしたら、多少時代的にずれてるかもしれませんが。

だから私の中では「鏡子=加賀まり子」。

群像劇であり、時代を描いた作品なのだな、というのは
最初の数ページで感じ取れる。

なんというか、非常に「映画的」な作品と感じました。

映像にする、映画として脚本を組んで描く、
役者が生身に動き出す、
そういうことに適した作品。

コッポラが映画化の版権を買ったとかいう話ですが、
それもよく分かります。

実に、実に見事に、
爽やかで気楽で自由な連中が、
やがて黒々とした闇と苦悶と混沌に襲われ、
まるで自ら望んだように転げ落ちていく展開。

物語の始めの段階では、「花より男子」かと思うような
イケメン男子とその中心にいる女子、みたいな構図を彷彿とさせながら。

破滅、虚無、諦観が
時代を乗り越える、あるいは時代に流される、
もしくは時代をやり過ごすための手段として選ばれて、
もう、この物語、どうなっちゃうんだろうと思うんですが、

とにかく、とにかく、最後が素晴らしい。
(あくまで私個人の感覚ですが)

実に映画的。
これぞ、群像小説。

ぐっとくる、すがすがしさは、
物語の始まりと似ていて否なるもの、
そしてまた、異なって通じるもの。

空から来て空へ帰る、という印象。

おそらくいろんな意見があるのだろうし、
これを「すがすがしい」と言う私は少数派かもしれない。

鏡子の覚悟。
時代との決別。

何かを失わなければ、先に進めない。
なぜなら、人は、生きていかなければならないからだ。
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by callingu2 | 2008-04-07 01:01 | 小説

手紙

東野圭吾作品を初めて読む。

というか、いわゆる「娯楽小説」というか「エンタテイメント小説」というか、なんというか、ミステリ作家系の人が書く本を私はめったに読まないので、少々のカルチャーショック。
なるほど、こういう作風は映画化に向いている、と思う。

ちなみに私は、宮部みゆきも、重松清も読んだことがない。
近いうちにチャレンジしたいとは思っているが。

文章が平易。というより、平凡。
だから読みやすいし、分かりやすい。
平凡ではあるけれども、ちゃんと考えられているし、伝わることを重視していると思うから。

やはり、というか当然のことなのだが、ストーリーに重きが置かれている。
人物は少々デフォルメされており、リアルさに欠ける気がするが、ストーリーやモチーフがリアルに作りこまれているので、バランスとしてはこのくらいがちょうどいいような気もする。
読者をほどよく「ほんのちょっと違う隣の世界」に連れて行く感じがする。
リアルな人物というのは難解なものだから、そこを描きつくそうとすると、このスタイルは重過ぎるし、やはり「エンタテイメント小説」として一般読者に耐え切れないだろう。

東野圭吾が元デンソー社員だったと後で知り、少しシンパシーを感じる。
小説に出てくる自動車工場とか、そこの寮とか、作業着とか、その手のものが何を見て描かれたのか、私は知っているせいか、余計に私にはリアルにその世界がイメージできた。

で、結論としては、「うん、面白いんじゃないかな」という感じ。
売れる理由がよく分かる。
別の作品も読んでみようかとも思う。

私のスタイルではないけれど。

世間で言うほど、「重い」「考えさせられる」ということもなかった。
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by callingu2 | 2008-04-07 00:25 | 小説

蹴りたい背中

いまさらながら、綿谷りさ。
どんなもんじゃいと読み始めました。

誰だったかが、若者が普通にしゃべってる言葉をそのまんま文章にしただけで、古い大人が「斬新だ!」と言っている、と評しておりましたが、そういう嫌いもないではない。
でも、それを差し引いても、結構表現力はあると思うけどね。

ただし、胸に来る作品かというとそうではない。
一定のムードを引き起こす作品かというと、そうでもない。

たぶん、やっぱり、書いてる人も登場人物も作品も、全てが若いんだと思う。
年齢や世代を超えるような作品ではないね。
超える必要もないのかもしれないけど。

まあ、芥川賞は新人賞だから。
綿谷りさの成長とともに、作品も成長して、読者も成長していくのでしょう。

それでよいのでしょう。
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by callingu2 | 2008-04-06 23:15 | 小説